【レポート】スカパーJSAT:視聴データ分析基盤へのSnowflake導入事例 – Data Cloud Summit 2020
2020年11月25日にSnowflake社が主催するバーチャルイベント、Data Cloud Summit 2020が開催されました。
当エントリでは「【国内事例】スカパーJSAT:視聴データ分析基盤へのSnowflake導入事例」についてレポートします。
セッション概要
スピーカー
- 夏原速人氏(スカパーJSAT株式会社)
内容
有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」を運営しているスカパーJSATが、お客様の視聴データ分析にSnowflakeを活用し分析の効率を飛躍的に高めることに成功した事例をご紹介します。
セッションレポート
スカパーJSATについて
スカパーJSAT株式会社は宇宙事業・メディア事業を両輪とした事業を展開されています。本セッションは衛星放送を担うメディア事業でのユースケースのご紹介でした。メディア事業部では300万件を超える加入者を誇る有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」を運営されています。
昨今ではテレビ以外の様々なデバイスでコンテンツが視聴されるようになり、視聴者の可処分時間の奪い合いが激化しているため、サービスを利用し続けてもらえるような工夫や進化が求められるとのこと。その中で、勘や経験に頼るのではなく、保有しているデータから視聴者の嗜好を理解し、データドリブンに施策を決定することを重視されています。
課題
顧客の興味関心を分析するために重要となるのが視聴履歴データで、「いつ、だれが、どのチャンネルで何のコンテンツを視聴しているのか」を可視化する視聴行動可視化ダッシュボードを作成し、分析のための環境を構築したのものの課題が浮き彫りになります。
- ダッシュボードの描画に数時間かかる
- 視聴データは超ビッグデータでありデータウェアハウス側でオーバーキャパシティとなっていた
- データウェアハウスへのデータ投入の前段階でのデータ加工を見直し、ダッシュボード側の無駄なUI削除も大きな効果は出なかった
- 費用対効果の問題
- 視聴動向の分析はアドホックに行うことが多く、利用していない間もデータウェアハウスに対してコストがかかる
- データウェアハウスのノードサイズを上げてダッシュボードの描画速度を速めることはコスト面で非現実的
データウェアハウスの変更
そんな課題を抱える中、データウェアハウスをSnowflakeに変更するマイグレーションテストを実施されます。従来使用していたストレージやダッシュボードとの繋ぎこみはスムーズにでき、データウェアハウス基盤を丸々Snowflakeに変更しただけで、労力はさほど必要なかったとのこと。
結果
- ダッシュボードのデータ描画速度は10分の1に短縮
- 使った分だけ課金されるため、運用コストが低く抑えられた
という成果があがり、マイグレーションテストは大成功となりました。
成功した要因
マイグレーションが成功した要因としては、スカパーJSAT株式会社がおかれていた状況がSnowflakeの特徴と相性がよかったことにあると挙げられています。
- 分析担当の社員のみがオンデマンドで使用する(24時間365日使うわけではない)
- 視聴データが膨大で、クエリが複雑なので瞬間的なパワーが必要
- ETLがすでに構築されており、バケットに読み込むべきデータがすでにある
- BIツールがSnowflakeに対応している
今後の取り組み
- すべてのデータをSnowflakeにマイグレーションすることでデータ管理を一元化する
- 運用コストが下がる見込み
- データ量を増加させたり、集計条件を複雑化させたりすることでさらに複雑な分析を可能にする
- 各種施策の効果検証を担当者自身が実施可能となり、PDCAサイクルを高速に回せる見込み
実際にSnowflakeで集計・分析した結果を社内に共有して施策に役立てたケースもあるそうで、現場の担当者自身が施策の実施から効果検証までを一気通貫で行うことで施策の精度が向上し、顧客の満足につながるとの言葉でセッションを締めくくりました。
最後に
Snowflakeの強みと課題がマッチし、スムーズに移行していい結果を得られた事例のご紹介でした。
ひとくちにデータウェアハウスをといってもそれぞれに特色がありますが、今回ご紹介いただいたケースのように、分析対象となるデータが大量にあり、オンデマンドで分析をしたいというケースではSnowflakeは非常に相性がいいのではないでしょうか。